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第一記 『始まりの守護者』

2006年09月04日 10:52

王の火急の知らせに、私の心は、期待で一杯だった。

守護者については、記録と現王の話でしか知ることができなかった。
話に聞いていた、屈強で大柄な戦士や、多彩な魔術を扱える魔導士。

数々の、武勇が私の頭を過ぎ、想像による理想が高まっていく。


城内を足早に、謁見の間へと急いだ。

急ぎすぎて、いつの間にか、走り出していたほどに・・・
  こんな姿を誰かが見たら、子供の様だと笑うことだろう。

謁見の間の前まで来た私は、一呼吸置いた後、キリリと姿勢を正して
 王と中にいるはずである、守護者に私が来たことを伝える。

「陛下、フルグラームです。只今、戻りました!」

するとすぐさま、中から年老いた老人の声が聞こえた。

「卿よ、遠慮はいらぬ、さぁ早くお入りなさい。」

私は思わず、微笑んだ、陛下はやはりお優しい方だと。
ドアの取っ手を掴んで、ゆっくりと押し開いたその先に見えたのは、
 
赤い金の縁の絨毯と、王の玉座に座る、初老の男性と、
1段下にいる、黒い薄汚れたローブを身にまとった、子供だった。

私は思わず、辺りを見渡して確認した。
 見間違いでもなく、その子供がそうなのか?と疑った。

「まさか・・・そんな!こんな・・、子供が・・・。」

驚愕と落胆に、打ちひしがれてしまい、思わず声がでていた。
 その言葉が聞こえたのか、子供がこちらを振り返る。

「想像とは、恐ろしいものだな・・。 がっかりしたか?
 そうだろうな、俺とてがっかりしているよ。
期待していた守護者の一人が、こんな子供で」

自身に対する嘲笑も込めている言葉に、私はますます驚いていたが、
 冷静さを取り戻して、声をかける。

「君のような、小さな少年が、守護者であるのは、確かに驚きだが、
 君に、この国を守れるほどの力があるとは、思えない。」

言い終わったとたん、私は一瞬、
自分がどこにいるのか分からなくなった、上か下かさえも。

絨毯に、うつぶせになっていることに、気がつくと同時に、
 小さな痛みが体のあちこちに感じ始めた。
小さく、呻いていると、目の前に黒いローブの裾が見え、
私は、彼を睨みつけようと、顔を上げたとたん、言葉を失くした。

深い青い瞳が、金色に怪しく輝き、私を見下していた。
その銀の髪が、風もないのになびく様は、どこか人を超越していることを唯一感じさせた。

「俺が、いつ、男だと言った? 今のは手加減したが、次に間違えたら殺すぞ。」

少年だとばかり、思っていたが、少女だったことにも驚いたが・・、
 その得体の知れない力に、私は守護者の意味を身をもって理解していた。

この少女の威圧にもめげず、私は、立ち上がったが、多少ふらついている。

「ふふ、大丈夫かね? だが、卿、恥じることはないぞ、私も先ほど食らってな、
 立ち上がるのに10分掛かったほどだ。」

初老の王が、飄々と笑いながら答えたが、私は内心、王にそのような無礼をと
 思っていたが、またひっくり返りたくはないので、黙っていることにした。


                          
                            『王と十二宮』 始まりの守護者より  



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