スポンサーサイト

--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

勇者なんかじゃない!(仮

2008年10月21日 19:22

ザクザクと雪の中を歩いて行く、ふいに隣を歩いていた人影がピタリと止まった。
何事かと振り向くと、淡い桃色の髪がゆれる。
一瞬で理解すると、助けるべきか悩む。

悩んだ末、私は・・・

真っさらな雪に、豪快に「ぼふっ」と言う音と共に、桃色の髪の少女が転んだ。
顔から転んだなーと、見下ろす人影。
桃色の頭が疲れ切ったように重々しく持ち上げられる。

顔中についた雪をパタパタと必死にはらいながら、文句を言い始めた。
「ヒドイです~、気づいてたじゃないですか~。」

そう言われたが、しれっとした態度でにやついてる人。
周囲の白に負けない銀の髪にスカイブルーの瞳が揺れる。
「自分から、転んだんだろ?」
嫌々ながらも、差し出した手は暖かかった。


最北の地にある小さな農村。
降り積もる一面の雪が、冬を告げている。

帝国領であることは確かだが、もっとも端に位置しているうえに、
隣の村まで、馬で3日もかかるのだ。
その為、自給自足が基本で、
小さな村ということもあって住民同士、助け合って生きている。

※帝国とは、12の小国を含む領土を支配している
世界の中心とも言える国だ。
対立国である、大国グランツとは建国時から何度も戦を繰り返しているが、
現在は停戦中である。(理由は、色々あるが、これは後日語ろう。


「ハァ~、暖かーい♪」
歓喜の声と共に、玄関に駆け込むのは、先頃派手に転んだ方だ。
「雪は払ってから入れよ」
後から続く人影は、相変わらず不機嫌そうだ。

それも、そのはずで、こちらも雪まみれ。
助けようと差し出した手を、勢い良く引かれてそのまま前から突っ込んだのだ。
 そんなに怒らなくても~と、言うが怒りはおさまりそうにない。

奥から、パタパタと駆けつける人影。
赤毛が目に映える、田舎特有の人の良さそうな青年。
「2人ともおかえり、収穫は・・なかったみたいだね。」
2人の顔を見て察したのか、それ以上は追求せず、
両手に持っていたタオルを差し出した。

奥からもう一人、呼ぶ声が聞こえる。
「ヴィクト!鍋!噴いてるって」
ヴィクトと呼ばれた青年は、しまった!と一目散に奥へと走っていった。


4人で、食卓を囲む。
鍋は、どうやら無事だったようだ。
いつもの光景に、食事も弾む。

木造の暖かい雰囲気のする小さな家だ。
4人とも別々の家に住んでいるが、
あの日を境に、こうして4人で過ごすようになった。


あの日――。
この日のことを、4人を含め、村の誰もが口を閉ざす日。



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。