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番外編「サージェムの姫君」

2006年09月04日 11:15

この物語は、真王が見つかる少し前の話だ。

サージェム国

現王が病に倒れたと噂が立って、早1年。

国中から魔法師達が、王に取り入ろうと王宮へ赴いていたころの話だ。


魔法大国と言われていたこの国で、原因不明の病に倒れた王を治すものが、

未だに誰一人として現れないことを、宮廷内でも不安な声が続いていた。


「これは、一体どういうことなのかしら?
 姫である私でさえ、父上に会うこともできないなんて・・。」

天蓋付の豪華なベットの上で、一人憤慨している幼い少女が言った。

かなり高飛車な物言いだが、まぁ置いておこう。

よく映える金の髪と蒼瞳は、サージェム人の特徴的とも言える。

淡い藍色のドレスとおそろいの靴で、今日も勉強をサボってお出かけですか。

「こんな時に、勉強なんてしてられますか!
 今日こそお城を出て、街で情報収集ですわっ」

そういって、意気揚々と部屋をでると、女中達がコソコソと何か話しているようだったので。

背後からこっそり聞くことに。

「陛下のご容態も悪くなる一方なので、とうとう大臣達が折れたらしくてねぇ。
 あの有名な魔導師様が来て下さるんだとかー。」
「あの方が来て下されば、陛下の容態もあっという間に回復なさるでしょうねー」

「有名な魔導師様?」

急に背後から声がしたもので、女中達は小さく悲鳴を上げたが、
 すぐさま誰かがわかって、微笑んだ。

「まぁ、姫様。またお出かけですか?いけませんよ、シスターに怒られてしまいますわ。」

「はぐらかさないでちょうだい。・・・シスターには見つからないよううまくやりますわ。」

2人の女中が顔を見合わせて笑った。

「まぁまぁ、姫様、すぐにわかることですよ。」
「お出かけなさるのでしたら、早く双子の所へ行きませんと、
 シスターに見つかってしまいますよ。」

なんだかんだで、うまく丸め込まれ、促されるまま双子のところへ。

「いつものところ」=「中庭」へ足を運ぶと、双子の、ボンボリーニとモンモリーニが

リンゴ当てゲームで遊んでいた。
(説明:木に生っているリンゴを、ナイフ一発で落とすゲーム)

中庭と宮中の境界線として、作られた低い塀に身を乗り出しながら、2人に声をかけた。

「ボンボリーニ!モンモリーニ!遊びに・・・ではなくて、話がありますわ。」

「Oh!はずしちゃったy・・・、今日は遊びに来たわけじゃないってー?」
リンゴを一発で落とせず、少々気落ちしているボンボリーニをよそに、
 モンモリーニが一撃で落としてから。
「Oh!やったぜ!で、奈央様、話ってーなんですか?」

塀をようやく飛び越えて、多少息切れしていたが。

「さっき聞いたんですが、父上の為に魔導師が来るそうなのですが・・。」

双子が同時に顔を見合わせ、うなずいて、ハモリはじめた。

「「もう宮中は、その噂で持ちきりですがー、詳しい話を知っているのは、大臣達だけです。」」

「でも!」

2人同時に指を横に振って、姫を制した。

「「焦らず聞いてくださいよ、まず名前ですが、カフェル・O・レイン」」
(読み:カフェル・オールド・レイン)

「「国内でもっとも有名な魔法師です、若干16歳の若き天才です。
   4属性からなる魔法を完璧に使いこなし、独自の魔法も自由自在。
 勉学だけではわからぬと、地方を回って困っている人を、魔術で助けていると。」」

「すばらしい人じゃない!魔法で困っている人を助けているなんて。」

「「まぁ、確かにそこは褒めるべきことですがー、影じゃぁ国王が倒れた今、
 取り入って隙を突いて、自分が選び抜いた魔法師達を使って攻め入るんじゃ・・。

「確かに、そのように噂が流れていますが、事実ではないですよ。」

3人が、驚いて後ろを振り向くと、そこにはニコニコと良心的に微笑む青年が一人。

「「ちょ、まさk」」

「はじめまして、カフェル・O・レインと申します。」

淡い紫の髪に、琥珀色の瞳が、姫だけを見ていた。

「あなたが?」(小声で双子に「悪そうな人には見えない」と)

「えぇ、そうですよ。可愛らしい姫君。
 どうぞ、レインと呼んでください。」

可愛らしいと言われ、すっかり上機嫌になってレインに懐いた様だった。
 その様子を怪訝そうに見つめていた双子だったが、一緒に来ていたシスターに
こっ酷く叱られて、それどころではなかった。

30分間しっかり、叱られ置き去りにされた双子。

「どー思うよ。」

「いやーな気配はするが・・、俺らじゃぁどうしようもなさそうだ。」

「レインも不安だが・・、俺は一緒にいた小さいのがやばそうだと」

「あぁ・・、確かに。でもまぁ、俺達にできることといえば、奈央様を守ることぐらい。」


深いため息と暗い気持ちにうなだれた双子を置いて、場面はかわる。

(※双子の歳12歳)
* * * * * * * * * * * * * * * * * * *

それから数日後の話だ。

父王の容態も、安定した様で、宮中は、魔法師を歓迎していた。

それどころか、奈央様の頼みで魔法を教えることになったほどだ。

さらに言えば、今までずっと城にいた、奈央様の為に、外出許可まで取ったほどだ。

護衛も、双子+レイン+1人のみとかなりの少人数だ、そんなに目立たない(はず)


「街がこんなに、賑やかな所だとは知りませんでしたわ。」

賑やかな通りを抜け、小さな公園で一休みしながら、少し疲れた様子の奈央様。

「あっ・・あのっ、これ・・よかったら!これをどうぞっ(><。」

おどおどした様子で、奈央様と同じくらいの背の少年が、冷たい飲み物を差し出した。

「まぁ、ありがとう!ファーム」

ファームと呼ばれた少年は、顔を真っ赤に染めながらも嬉しそうに笑った。

レインと一緒に宮中に来た少年、それがファームだ。

ファーム・ドルトナ(彼の本名だ)

栗色の髪に、若草色の瞳の小柄な少年だ。

臆病で、いつもおどおどしている。(年は奈央様と同じ10歳です)

「「俺達には、ないのかYO」」

「ごっ・・ごめんなさいっ!忘れてて・・・。」

「二人には、必要ありませんわ。ファーム、気にしてはだめですわ。」

申し訳なさそうに、縮こまるファームを気遣う奈央様、
 宮中にこもりっきりの時には、決して見れなかった姿だ。

先ほどまで、微笑ましく様子を見ていたレインだったが、ベンチに
 座ったまま眠っていたようだ。

「お疲れのご様子ですわね・・・。」

「レインがやらなきゃいけないこと、沢山あるから・・・。」

「外出をなくしたら、レインさんの負担も・・・」

「それはっ!ダメですっ・・レインはこの時間が一番楽しいと・・」

それを聞いて、とても嬉しそうな顔だったのを、よく覚えている。

 
その笑顔を引き裂いたのが、自分だということも・・よく覚えている・・・・。
                                  
                                   番外編「サージェムの姫君」つづく



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